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 「中条第二病院の柱が大きな損傷を受けている。倒壊の危険を感じます」。無線機をとおして中条支部の看護師根津隆明さんの逼迫した声が組合本部に入ってきたのは、地震から一時間あまりが過ぎたころでした。続いて高橋中条病院長の「患者さんを全て老健きたはらに移動した」との声。午後九時前後、中央支部の放射線科技師長目黒正誠さんの声で透析部門の水漏れ、新館病棟の亀裂、正面ロビーの様子が伝わってきました。電話が通じないなかで、無線による情報把握から直ちに労使合同対策本部の設置や支援体制への取り組みが始められました。

 翌10月24日早朝の労使合同対策本部設置以降は、有効な通信手段として無線機が大きな役割をはたしてきました。

 「無線機を全病院に設置し、非常災害時の通信手段を確保する。運用は労使が連携して円滑におこなう」との覚書を締結したのは、1997年秋のことでした。以降、無線委員会を専門部活動と位置づけて、定期交信を行ってきました。まさかこんな形で実際に生かされるとは思いませんでした。

 病院の防災訓練のなかでもきちんと位置づけて、非常災害時に役立てる様にしていきたいと思います。
 
新潟県厚生連労組書記次長 早津 進

 栃尾郷病院からの患者受入は無線で行いました。刻々と進展、変化する移送準備状況も当日関係した主たる四者(合同対策本部・栃尾・豊栄・三条)が同時に同じ認識のもと、受入準備ができたと実感しています。緊急時における無線交信の重要性も改めて痛感しました。
三条総合病院 渡辺公彦(事務)
栃尾郷病院からの当院への患者受入は無線を通して行ってきました。被災病院からの患者さん受け入れに関し、患者さんの状態や進行状況など、支部役員数名で聞いていました。状況を把握しながら受け入れを待つことができました。大勢で聞けること、つながりにくい電話とは違い、無線の便利さを痛感しました。
豊栄病院 斉藤信義(看護師)
災害時に於ける危機管理マニュアル
厚生連労働組合・無線委員会

1. 無線委員会の役割
 大規模災害時においては、一般加入電話や携帯電話はその機能を殆どはたす事ができない。無線委員会として、厚生連の危機管理の一翼を担う立場からマニュアルを作成し危機に対応したい。
●災害時、無線委員会は通信補助手段として情報網の構築 に寄与する。なお、危険を伴う事態が予測される場合はそ の限りではない。

2. 目 的
 各病院の災害対策本部の要請にもとづき連絡網の確立に務める。但し、対策本部が確立不可能な大規模災害の場合は無線委員会として独自に連絡網の構築を行うものとする。

3. 支援体制
 災害発生病院より隣接病院にたいして、支援要請があった場合の対応については連合会が別に定める。
●支援体制を取り組むに当たり労働組合と必要事項を協議 する。
●別紙マニュアルに基づき連絡網の確立を行う。

4. 訓 練
 各病院の災害訓練にあわせ、無線委員会として災害時の訓練を行う。
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