next
希望を抱き続けて
三条総合病院(薬剤師) 新潟県厚生連労組副執行委員長 内山一史

 10月23日に発生した中越大震災において新潟県厚生連は六病院が被災し、特に中条第二病院は建物に亀裂が入り病棟が使用不能になりました。被災病院の復旧にかかる費用と病院機能後退による減収は大きく、中条第二病院を自力で再生することは困難で閉院も含めて検討しているという見解が会本部より示されました。
 これに対し組合は閉院した場合「中条第二病院は地域唯一の精神科病院であり地域医療の後退をまねくこと」「職員の雇用問題」という事態が発生するため再建をめざして運動する事を決定しました。

 11月2日に新潟県、11月9日に厚生労働省、農林水産省、全国厚生連、12月9日に厚生労働省と交渉をもち、県、厚生労働省に対しては「仮設診療施設、仮設入院病棟施設を公費で設置」「災害復旧補助率公立2/3、公的1/2を公立と同率にすること、精神病院の補助率を1/3から2/3に引き上げる事」、農林水産省、全国厚生連に対しては「固定比率の適用除外と震災に関わる緩和」について要請を行いました。

 当初行政側は「補助率は阪神・淡路大震災が基準であり、特別立法は考えていない」「固定比率の適用除外はできない」と要求に否定的な態度でしたが、交渉のなかで「都市型の阪神・淡路とは違い農村中山間地に発生した地震であり、地域に唯一の必要不可欠な病院が被害を受け使用不能の状態にある」「日本有数の豪雪地域であり冬期間の移動が困難な患者や、高齢者が多い」「被災地域の医療は厚生連が担っており公立・公的に補助率の差をつけることは実状に合わず不公平である」ことを主張してきました。

 度重なる要請行動で「中条病院デイケア室の病室利用の許可」「災害復旧補助率が精神病院を含んで2/3に引き上げ」という大きな結果を得ることができました。

 今回の補助率引き上げは今後発生する被災の適用基準となり、新潟県厚生連労組の粘り強い運動が国の制度を変えたといえます。

 この度の交渉で地域医療の実態を国、県の関係機関は十分把握していないことがわかりました。今後厚生連の位置付けを行政、地域にどのようにアピールしていくか、また平常時・非常時を問わず地域に支持される病院にするためにはどうすれば良いかなどを考えてゆく必要があります。
next