厚生労働省は健康面の支障がなく日常生活を送ることができる期間を算出し、「健康寿命」として公表しています。2010年の健康寿命は男性が70歳、女性が73歳で、生存期間を示す平均寿命とは男性で9年、女性では12年の差がありました。世界の中でも長寿を誇る日本ですが、晩年の十年ほどは、健康面に何らかの支障や障害を抱えて暮らしていかなければいけないのが現状で、超高齢社会の大きな課題となっています。

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 健康寿命を伸ばすためには生活習慣が大切で、塩分を控えて高血圧を改善する、適度な運動で足腰を弱らせない、タバコやお酒を控える、といった取り組みが効果的とされていますが、口腔ケアで歯と口を健康に保っておくことも重要であることがわかってきました。

 高齢者を対象とした調査では、80歳を過ぎて歯が20本以上ある人は、そうでない人に比べて平均寿命が長く、社会的活動も活発に行っていることが示されています。また、歯がなくなってしまっても入れ歯を使用している人は、歯が抜けたまま放置している人よりも栄養状態が良好で、認知症にもなりにくいと言われています。つまり、「歯でかむ」ことが、全身の健康を保つうえでとても大きな要素となっているのです。

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 歯が失われる最大の原因はむし歯と歯周病です。むし歯は、歯の表面に付着した歯垢の中で細菌が作る酸が歯の表面をとかすことで進行していきます。歯周病は、歯と歯肉のすき間で繁殖した細菌が炎症を起こし、歯を支えている骨が徐々に破壊される病気です。このように、むし歯と歯周病は、細菌が直接の原因であることが分かっていますので、理屈の上では、歯みがきで細菌を退治しておけば、確実に予防できることになります。しかし、完璧な歯みがきを一日も欠かさず生涯にわたって続けることはまず不可能です。実際には、そこそこていねいな歯みがきを基本に、ライフステージ毎の「かんどころ」をおさえた対応が重要になってきます。

 若い世代では、自分で正しく歯みがきする習慣をつけること、そして進学や就職で環境が変わってもその習慣を続けることが大切です。働き盛りの世代では、何か異常があったら忙しくても時間を見つけて早めに歯科医院に行ってください。むし歯と歯周病の治療は、初期のうちはそれほど大変ではありませんが、重症になってしまうと抜くしかなくなってしまいます。毎日の歯みがきと歯科医院での治療を組み合わせることで、むし歯と歯周病の重症化をくいとめましょう。

 リタイア前後の年代になると、歯と口の状態は複雑で個性的になっていきます。歯ブラシなどの清掃用具の選び方や使い方にもひとりひとり工夫が必要です。また、健康面でも個人差が大きくなり、常用薬やその日の体調などに配慮が必要なことも増えていきます。この時期までに、自分のことをよく理解してくれていて気軽に相談できる「かかりつけの歯科医院」が決まっていると安心です。今の自分の口の中をよく知った上で、八十歳になったときをイメージすると、何をしておくべきかが明確になると思います。