健全な食生活への意識が高まり、最近ではお年寄りにもカロリーや太りすぎに気を配る方が増えてきています。しかし、このことが逆に病気を引き起こすことになりかねないのです。お年寄りは、元来が年齢とともに食事の好みはあっさりとした菜食に移って行きがちですので、お年寄りはことさら肉や卵を食べる機会が減ってきます。また、大家族ですと、おじいちゃんやおばあちゃんもお孫さんと一緒に、子供の好むカロリーの高い食事を食べる機会も多いのですが、最近では一人暮らしやお年寄りだけで住んでおられる方が増えて、いわゆる年寄り好みのメニューになりがちになります。

出身はどちらですか?
 さて、肉類や卵、乳製品が不足し、低カロリーの食事に偏るとどのようなことが起こるのでしょうか。カロリーが不足すると体の中のタンパク質もカロリー源として使われるので減ってきます。とくにタンパク質を多く含む肉や卵の不足はタンパク質不足に拍車をかけます。このタンパク質が不足すると、赤血球の材料が減って「貧血」になり、血管を作る材料が少なくなると血管がもろくなって「脳出血」が起きやすくなります。また、タンパク質は筋肉を作る重要な材料ですので、筋肉の力が弱って「転倒」したり、「骨折」が引き起こされやすくなります。さらには、タンパク質は免疫力のもとになりますので、不足すると免疫力が低下して「肺炎」や「結核」などを起こしやすくなってしまうのです。

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 高度経済成長以降、結核や肺炎、脳出血で亡くなる人が激減したのは、ごはん、みそ汁、漬け物、煮物を中心にした伝統的な日本食に、肉や卵を用いた洋風のメニューが加わるようになったことがあると考えられています。

 では、このようなかくれ栄養失調、タンパク質不足を避けるにはどのようにしたらよいのでしょうか。それは、言うまでもなく、炭水化物、脂肪、タンパク質を偏りなく食べるようにすることです。秋田県のある自治体で、毎日食べるべき食品群を10群にわけて表をつくりました。そして、10群の食品ひとつひとつについて、少しでも食べたら表に○をつけるようにして、できるだけまんべんなく食べてもらうように働きかけました。すると、低栄養の人が になり、動脈硬化の発生が減って、低かった村の平均寿命が上昇し、全国平均に追いつくという素晴らしい結果が得られたのです。とはいえ、毎日毎日表に書き込んだり、食材を多数用意するのは難しいことです。

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 そこで、これを簡単にした方法があります。一日あたりの食事として、@ご飯普通盛りで3杯、A野菜のおかずを5皿、B肉、魚のおかずを3皿、C牛乳と果物を好みにより適量で組み立て、これを3食にわけて食べるのです。すると無理なく10品目位を食べることができるのだそうです。ザックリではありますが、配分に気を付けることで食事のバランスは良くなり、栄養失調、タンパク不足を避けられるのです。

 せっかく健康に気を配ったつもりが、偏った食事で逆に寿命を縮めるようなことがないように、すこし工夫をしてはいかがでしょうか。