東日本大震災で、「被ばく」に対する関心が高まっています。病院を訪れエックス線検査を受けられる方から、「この検査で何シーベルト被ばくするのですか?」と以前にはなかった質問を受ける様になりました。

放射線の単位
 シーベルト(Sv)とは「放射線が身体に与える影響」を示す単位です。「年間当たり、どれくらい放射線被ばくしたか」と同じ尺度で考えれば、それでも理解しやすいのかもしれません。しかし、今回の原発の事故では、環境測定値を一時間単位で測定しますので、より小さな単位での表記となります。.

 ですから、シーベルトの千分の一である「ミリシーベルト(mSv)」、そのまた千分の一である「マイクロシーベルト(μSv)」、というごくわずかな放射線の表記となります。
 一日24時間、一年三百六十五日ですから、たとえば「一マイクロシーベルトが測定された」ということは、「一年間8.8ミリシーベルトの被ばく」と考えると理解しやすいのかもしれません。
放射線の単位
 放射線を扱う人、たとえば病院の放射線技師などの被ばくを職業被ばくといい、一年間で50ミリシーベルトを超えず、五年間の限度を100ミリシーベルトまでとされています。放射線を取り扱っているからといって、高い確率で健康を害しているわけではありません。皆さんからみたら、たくさんの放射線を浴びていますが、安全と判断された基準内の被ばくです。

放射線の単位
 放射線の被ばく対する意識が高まることは良いことだと思います。しかし、神経質になりすぎて、放射線に関わる検査や治療の拒否や過敏に心配しすぎることは、健康を考える上で逆効果ともいえます。健康と被ばくのリスクを天秤にかけたら、どちらに傾くかは人それぞれかも知れません。しかし、風評に惑わされることなく健康維持に努めることが大切かと考えます。

新潟医療センター診療放射線技師 大橋利弘