出身はどちらですか?
 日本ではがんは死亡原因の第一位であり、日本人の約三割ががんで亡くなると考えられています。女性特有のがんの中で、子宮頸がんは乳がんに次いで多いがんです。

 子宮に発生するがんには、子宮頸がんと子宮体がんの二種類があります。この二つは「子宮がん」として混同されがちですが、全く異なるがんです。子宮頸がんは子宮の入り口部分(頸部)、子宮体がんは子宮の奥の方(体部)にできるがんで、発症原因も違います。頸がんは体がんより頻度が高く、より若い人に多くみられます。体がんは出血などの症状が初期段階から出やすいのに対し、頸がんは初期では自覚症状がほとんどなく、進行がんで見つかると子宮摘出が必要となります。頸がんは近年若年層で増加傾向にあるため、若い女性の妊娠・出産の可能性や尊い命を奪う恐ろしいがんであると言えます。

出身はどちらですか?
 子宮頸がんは他の多くのがんとは異なり、発がん原因が解明された数少ないがんの一つです。ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの子宮頸部への感染がその原因です。HPVは人の皮膚や粘膜にいるごくありふれたウイルスで、多くの種類(百種類以上)がありますが、頸がんの発症に関係するのはそのうちの13〜15種類ほどで、ハイリスクタイプHPVと呼ばれます。

 HPVの子宮頸部への感染はほとんどが性交渉によるものです。しかしHPVはごくありふれたウイルスなので、誰もが感染する可能性があります。性交経験のある女性の約八〇%が一度はHPVに感染すると言われています。梅毒や淋病などの特殊な人との間で感染する性行為感染症とは全く異なるものです。

 最近話題になっている子宮頸がん予防ワクチンはこのHPVに対するワクチンで、発がん原因の約70%を占める二つの型のハイリスクタイプHPVの感染を防ぐ効果があります。残念ながら、すでに感染してしまったHPVには無効なため、もっとも効果的な接種時期は性交渉を始める前の年代です。しかしHPVに感染した人でも、このワクチンにより別のハイリスクタイプHPVが新たに感染することは予防できるので、ワクチン接種の意義は十分あると思われます。

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 ではハイリスクタイプHPVに感染してしまったらどうすればよいのでしょうか? HPV感染からがんの発症までは数年から十数年かかります。この間に前がん状態や初期のがんで発見できれば、子宮を摘出することなく適切な治療で完全に治すことができます。そのために必要なのが子宮頸がん検診です。子宮頸部からへらやブラシで細胞をこすり取る簡単な検査で、所要時間は数秒で痛みもあまりありません。

 様々ながんの早期発見を目的としてがん検診が行われますが、その効果がはっきりしない検診もあります。子宮頸がん検診はがんの死亡率を下げる効果が確実にあると証明された検診です。にもかかわらず日本では欧米に比べ頸がん検診受診率が低い(10〜20%)のが現状です。

 ワクチン接種と定期的な子宮頸がん検診で、子宮頸がんは予防できます。皆さん、ぜひ実践しましょう。