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自分の胃液によって、胃・十二指腸の粘膜を自己消化してしまい、部分的に組織の欠損が起きた状態が、胃・十二指腸潰瘍で、消化性潰瘍とも呼ばれています。
消化性潰瘍のできる直接的なきっかけとしてはストレス、喫煙、大量飲酒、暴飲暴食をはじめ多様な因子があると推測されます。また胃・十二指腸潰瘍の原因として、1983年、WarrenとMarshallによって慢性胃炎患者の胃粘膜からヘリコバクターピロリ菌が分離、培養され、その感染が粘膜障害や潰瘍の成因に大きく関与していることが明らかになりました。 |
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胃潰瘍の症状として、げっぷ、悪心、胸やけ、もたれ感、食欲不振、心窩部痛、背部痛などがみられますが、御高齢のかたや糖尿病などの病気の影響で症状がほとんどみられないこともあります。また潰瘍によって胃壁の血管に傷がつくと、吐血や下血がみられます。吐血は、鮮血(真っ赤な血)の場合や黒色化したコーヒー残渣様の場合があります。 |
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多くの場合は上記症状の有無、既往歴、生活習慣、薬剤の服用歴などの問診からおおよその診断が可能です。そのうえで血液検査や必要であればレントゲンや内視鏡検査等の画像検査を行います。またヘリコバクターピロリ菌感染の有無を確認することも必要時には施行しています。 |
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胃潰瘍の治療には、薬物療法、ヘリコバクターピロリ除菌療法、外科的治療、その他があります。
薬物(H2ブロッカー、プロトンポンプインヒビター)により胃酸分泌を抑制したり、胃粘膜保護剤を用いて胃潰瘍の治療を行います。またヘリコバクターピロリ菌感染症例では、同菌の除菌療法を行うことで胃潰瘍の再発リスクを軽減することが可能とされていますが、全症例に除菌療法が適応になっているわけではなく、専門の医師にご相談ください。
さらに、繰り返し再発する難治性潰瘍や狭窄を伴った症例では外科的切除を検討しなくてはならないこともあり、そうならないように飲酒や喫煙の制限といった生活習慣の改善が必要になることもあります。 |
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胃潰瘍はよく耳にする病名の一つで、内服薬のみでの治療が期待できる疾患です。しかし正しい治療を行わないと吐下血を生じてしまったり、再発を繰り返してしまうこともあります。自己判断で通院を終了してしまわれることをたまに経験しますが、定期的な受診・継続した治療が必要な症例も多く、医師・看護師とよくご相談してください。
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