厚生連、10月から水原郷病院運営
 厚生連は既に県内16の医療施設を、上・中・下越(佐渡を含む)の三ブロックに分け、上越総合病院・長岡中央綜合病院・新潟医療センターを各ブロックのセンター病院としてネットワーク化し、組織力を活かして急性期医療から慢性期医療・保健・福祉を総合的に提供してきました。新たに水原郷病院が加わり、下越ブロックにおいて地域完結型医療の確立に大きな一歩を踏み出しました。

 水原郷病院は、阿賀野市のJR水原駅から徒歩五分に位置し、白鳥で有名な瓢湖等、豊かな自然に囲まれた郷に立地しています。診療圏人口は、阿賀野市・五泉市・阿賀町等で約12万人余と推測され、標榜診療科は十七科、321床の入院ベッドを有しております。

厚生連、10月から水原郷病院運営
 当院の歴史をひもときますと、昭和29年12月に水原町の国保直営病院として発足し、以後半世紀に亘り地域住民の大きな期待に応えるべく、増改築や機能拡充に努めて来られました。しかし、残念なことに平成18年に、常態化した過重労働から医師が大量退職し、現在は夜間休日等の一次救急医療を休止のほか、一病棟59床を休床しています。そんな中でも、依然として水原郷病院に寄せる地域の方々の信頼と期待、そして医療ニーズに変わりはないと痛感しており、一刻も早く以前の診療体制復活に最大の努力をしていきます。

 まずは、今の診療機能が後退することのないよう、関係大学や新潟医療センターの協力をいただきながら、徐々に体制の強化を図りたいと考えています。

厚生連、10月から水原郷病院運営
 近年の医療業界は、医師看護師等の医療従事者をはじめ、患者様も大都市大病院志向が強く、地方の医療機関は、マンパワーの不足と利用者の減少から経営の危機に直面しています。それは水原郷病院においても例外ではなく、このまま単独の医療機関として打開策を模索しても限界があると思われます。

 厚生連には同様の病院がいくつかありますが、診療機能を棲み分けることでお互いの役割を明確にし、人や物、医療技術等あらゆる面で共有と連携をして均衡を保ってまいりました。この度、水原郷病院が厚生連組織の一員となったことで、これら課題を克服できると考えています。

厚生連、10月から水原郷病院運営
 また、阿賀野市と締結した基本協定には、平成26年度に新築を目指すこと、そのために指定管理者である厚生連が運営および経営の改善努力をすることが謳われていることから、今後水原郷病院が向かうべき道がどこにあるのかを探り、職員全員が同じ目標に向かって進めるよう舵取りをしたいと考えます。

 近隣には三次救急を担う医療施設があり、水原郷病院の位置付けとしては、二次救急となるわけですが、比較的高齢者層の多い現状も踏まえると、回復期医療も視野に入れて特徴化することが最善の選択肢と思われます。併せて、在宅医療、介護、健診事業も充実させ、確固たる経営基盤を確立したいと考えます。

 10月からは、厚生連病院になりましたので、看護師、その他職員のユニホームも様変わりして、心機一転しております。加えて業務の効率化とサービス向上、経費節減に努力していきます。

厚生連、10月から水原郷病院運営
 今回の公設民営化(指定管理者制度)は、公の責務である阿賀野地域の医療確保と、民間病院が抱える病院建設費用や医療機器整備等の大型投資負荷の緩和を図るとの事では、本来あるべき経営手法として、さらに進展して行くものと考えます。水原郷病院は、その第一号としてJA新潟厚生連が総力をあげ取り組む事業であります。
水原郷病院   事務長 登坂文雄