暖かい季節になってきました。お弁当を持って出かけたり、肉や野菜を持ち込んでバーベキューをしたり、食事がより楽しくなる時期になってきます。その一方で、食べ物が腐りやすくなる季節でもあります。

 厚生労働省の報告では、毎年千件以上の食中毒が発生しているそうです。その多くが、家庭や飲食店で発生しており、食中毒は私たちの生活に身近な問題なのです。
 食中毒は細菌によって異なりますが、主な症状として腹痛や下痢、嘔吐などがあります。また、けいれんなどの神経症状が現れることもあることから、食中毒にならないためにも予防が大切なのです。

 食中毒を防ぐためには、六つのポイントがあります。

 一つ目は、食品の購入時です。賞味期限などを確認し、新鮮な物を選び、購入したらすぐに持ち帰りましょう。

 二つ目は、家庭での保存についてです。冷蔵庫や冷凍庫は詰めすぎに注意し、肉や魚などはビニール袋に入れ、他の食品に肉汁がかからないようにすることです。

 三つ目は、調理時の下準備についてです。まず、手をきちんと洗うことです。手洗いが不十分なまま調理をし、調理者を介して食中毒になる場合もあります。手を洗うときは、洗い忘れがちな手首、爪の中もきちんと洗うことが大切です。そして、調理器具は清潔な物を使用しましょう。例えば、まな板は表面で野菜類を、裏面で肉類を切り分けるなどして、細菌の繁殖を防ぐことも重要です。

 四つ目は調理時についてです。できるだけ生の物を食べないようにし、食中毒菌を死滅させるためにも十分に加熱しましょう。また、調理を途中で止める時は常温に放置するのではなく、冷蔵庫で保存しましょう。

 五つ目は、食事をする時です。食卓に着く前に手を洗い、温かいものは温かいうちに、冷たい物は冷たいうちに食べることです。

 六つ目は、残り物がでないように、食べきれる分だけ作るよう心がけましょう。

 これらは、家庭でも簡単にできることです。簡単だからこそ実践しやすい半面、うっかり怠ってしまうこともあります。食事を楽しく、おいしく頂くためにも、この六つのポイントを実践し、食中毒を予防しましょう。
魚沼病院 管理栄養士 井上かほる