「メタボリックシンドローム」なんて長ったらしくてちょっと舌をかみそうな医学用語が、はたして皆さんに覚えてもらえるのかと心配していましたが、何年か経ってみれば「メタボ」という言葉に省略されてすっかり茶の間でもおなじみになってしまいました。もっとも多くの人たちは「肥満=メタボ」と思っているかもしれないので、ここでもう一度おさらいをしておきましょう。
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日本人の死亡原因の第一位は「がん」で30%を占めます。第二位と第三位は「心疾患」と「脳血管疾患」でこの二つを合わせるとやはり約30%です。つまり日本人の三人に一人ががんで死に、もう一人が心筋梗塞(こうそく)か脳卒中で死を迎えることになります。よく考えたらとんでもなく恐ろしい確率です。そこで、それを予防しようとさまざまな研究がなされてきました。
その原因は主として血管が硬くなってつまってしまう動脈硬化によるものだとわかってきました。そしてどんな人に動脈硬化がおこりやすいのか研究したところ、肥満(内臓脂肪型肥満)と軽度の高血圧、脂質異常、高血糖が重なることによって危険が増すことがわかり、この病態をメタボリックシンドロームといい注意を呼びかけているのです。これらの病気はたとえ死にいたらなくても、半身麻痺や後遺症が残り日常生活に大きな支障となることも少なくありません。ちょっと心配になってきたあなたに具体的な数字でお教えしましょう。
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肥満とはへその高さで腹回りを巻尺で測ります。男性で八十五a、女性で九十a以上あると内臓脂肪型肥満になります。あっ、腹をへこませてはいけません。息を吸ってゆっくり吐いてから測ります。さてあなたはいかがですか。
高血圧、脂質異常、高血糖については「診断基準の表」をご覧ください。
現在日本人の四十歳以上の男性の二人に一人、女性の五人に一人が該当するといわれ、千九百万人にものぼり驚異的な数字になります。 |
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ところが、近年新しい研究成果が発表されました。女性の腹囲が90aから80aに訂正されそうです。せっかく運動ジムに通って一生懸命運動して腹回りを減らしてきたのに、いきなり腹囲の基準が10aも変わるなんてちょっとがっかりですね。
さらに追い討ちをかけるように肥満がなくても、高血圧、脂質異常、高血糖が重なるだけでも危険なことがわかってきました。やはりこれらの危険因子は少なくしたほうがいいようです。 |
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では、どうしたらその危険を減らせるのでしょうか。食べすぎ、飲みすぎなどの食生活の乱れをやめ、運動習慣を取り入れ、喫煙をやめること。そして、年に一回は健診や人間ドックを受けて自分の健康状態に目を向けることですね。さてあなたは、そして家族のみなさんは大丈夫ですか?
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