出身はどちらですか?
 大腸がんは、腸の中でも一番おしりに近い大腸にできる悪性の腫瘍(しゅよう)のことを言います。ですから、病気の症状としては、「便が細くなる」「便秘が突然ひどくなる」「便に(腫瘍からの)血が混じる」といったものが挙げられます。しかしながら、大腸がんで症状が出るということはかなり腫瘍が大きくなってからのことが多いといった特徴があります。

 また、大腸がんは最近、日本人において急増している病気です。がん患者の中の割合で言えば、女性における一位、男性においては三位とじわじわと順位を上げてきている状況です。大腸がんが増えている要因としては、「食生活の欧米化」が言われております。具体的には肉類の摂取増に伴う高脂肪・高タンパクの食事です。


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では、「この病気に対してどのように気をつけて生活していくべきか?」。第一の予防として「野菜が多めの低脂肪・高繊維食の摂取と運動による便秘の解消」です。もちろんこれだけで100%大腸がんが防げる訳ではありません。これに加え二次予防として「大腸がん検診の受診」が重要です。大腸がん検診は、まず「便の中に目に見えないレベルの血液が混じっていないか」を調べ、その検査が陽性の方に大腸内視鏡などの追加検査をするという方式で行われます。

 しかしながら、今問題になっているのは「検診において便潜血で陽性でありながら、内視鏡などによる精密検査を受けていない人が増えている」ことです。ある調査では「便潜血陽性を指摘された患者の40%が精密検査を受けていない」という結果も出ています。その背景には、「どうせ痔(じ)だろう」という楽観や「カメラの検査って恥ずかしいし辛いかもしれない」などといった不安があるのだと推測されます。

 「大腸がんはかなり進行しないと症状が出ない」ため、症状が出て受診する頃にはがんはカメラで取れない位に大きくなり、場合によっては他の臓器に転移していて手術でも取りきれない状態になっている可能性もある訳です。ですから、皆さんも検診をしっかり受けて、もし精密検査が必要と言われれば必ず受けるようにしてください。

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 大腸がんの治療方法は、ごく初期の粘膜の中にとどまった浅いがんは、内視鏡で切除することが可能です。それより深い場合は手術が必要となりますが、条件によりおなかの一部を開く腹腔鏡による切除か、おなかを大きく開く開腹手術かを医師が選択します。手術でも取りきれないものに関しては、一般的に抗がん剤の治療を選択します。昨今では抗がん剤の開発も目まぐるしく進んでおり、大腸がんに対する非常に効果の高い薬剤も登場してきております。

 このように大腸がんは、病気のことをよく知って生活していけば決して恐れる必要のない病気です。日頃から食事に気を付け、便の状態をよく観察し、定期的に検診を受けて(受けられなければ近くの診療所で便の検査を受け)早期発見を心掛けましょう。

 皆さんも大腸のようになが〜い人生を送りましょう。