|
最近はテレビや雑誌などで違法薬物の使用やドメスティックバイオレンス等が広く取り上げられるようになり、「◯◯依存」や「△△依存症」という言葉をよく見かけるようになりました。ではこの「依存/依存症」とは一体どういうものなのでしょうか。
人間は誰でも一人で生きているわけではありません。生活の中で受ける様々なストレスに押し潰されない様に人に頼ったり、欲しい物を得て心を満たす事は悪い事ではないはずです。人間が元々持っている心の安心や肉体の満足を求める行為を「依存」と言います。依存には良い依存と悪い依存があります。「良い依存」とは自身の成長を促し自立へとつながるもので、例えば、赤ん坊とお母さんの関係です。「悪い依存」とは自分の不安や孤独を紛らわすために何かに頼ったり、相手を支配・束縛しようとする事で、この依存対象の関係やモノから離れられなくなる状態を「依存症」と言います。
|
|
|
「悪い依存症」は大きく三種類に分けられます。一つ目が「物質への依存」。タバコやアルコール、ドラッグ等がこれにあたります。肉体的な快楽や刺激によって一時的な現実逃避をします。
二つ目が「プロセス(過程)への依存」。ギャンブルや買い物、テレビゲーム、インターネット、携帯メール、恋愛、仕事等がこれにあたります。行為の過程で得られる興奮や刺激を求めてその行為にのめりこみます。行為自体が目的ではないので終わった後に後悔します。
三つ目が「人への依存」。過度な世話焼きや職場、家庭内暴力や宗教等がこれにあたります。ゆがんだ上下関係で相手を支配・束縛したり、逆に過度にしがみつく事で人とのつながりを求めようとします。
|
|
|
依存症の始まりはさびしさにあるといわれています。底知れない寂しさを埋めるためにモノや人で安心を得ようとしますが、本当の安心を得る事は容易ではなく、寂しさを埋め続けるためにその行為はエスカレートしていきます。
また、依存症の特徴として「同じ事を何度も繰り返す」、「より強い刺激を求める」、「やめようと思っても自分の意思ではやめられない」、「いつも頭から離れられない」といった点が挙げられます。
|
|
|
依存症の怖さは本人の健康や生活を脅かすだけではなく、家族や社会を巻き込んで混乱を招く点にあります。依存症から抜け出すには本人が「依存症は病気であること」を自覚する事が何よりも大事になります。なお、依存をやめられないのは意志の強さとは関係がありません。本人が「これでやめる」と言っても依存は続く場合が多いのです。むしろ本人の意思に任せておくと、ひたすら悩むだけで事態はますます悪くなり、より大きなトラブルに発展する恐れがあります。 依存症は深刻になる前に専門的な治療が必要です。治療には本人が「自分が依存症である事」を自覚する事、「治したい」という意思が何よりも大事となります。
|
|
|