この春、長岡中央綜合病院に導入された「Aquilion ONE(アクイリオンワン)」(東芝製)は、日本でもまだ数少ない最新鋭のCT(コンピューター断層撮影装置)です=写真。

 CTはエックス線で人体の輪切りを撮影する装置ですが、この「Aquilion ONE」は心臓、特に心臓に栄養を送る血管である冠動脈を撮影することを一番の目的に開発され、同時に三百二十枚分の画像データを収集できる面検出器が特徴です。

 以前は冠動脈の病気を詳しく調べるには、手足の動脈から心臓までカテーテルという管を入れて撮影する心臓カテーテル検査が必要でした。入院しなければならなかったりと気軽には受けられない検査です。

 冠動脈がCTで安全に撮影できるようになったのは最近のことですが、常に動いている心臓を止まった状態で観察するために、これまでのCTでは冠動脈を心臓の拍動に合わせて何回かに分けて息を止めたまま長時間撮影し、動きの少ない部分を合成して心臓全体の情報とすることが必要で、そのため画像にズレやボケが生じやすく、エックス線被ばくも多くなりがちでした。

 この最新鋭CTは心臓が十分収まる百60_の範囲を0.35秒という高速で最大640スライスも撮影できる特殊なモードを持っており、ほぼ心臓が停止して見えるごく短時間のうちに心臓全体を非常に細密に、かつ今までよりも少ないエックス線被ばくで撮影することができます。同時に導入された高性能3D処理ワークステーションで画像解析することで心臓カテーテル検査に匹敵する冠動脈の情報が得られます。もちろん入院は必要ありません。放射線科では循環器内科医師の協力のもとでこのCTと心臓カテーテル検査とを使い分けて最適な評価ができるように運用しております。

 「Aquilion ONE」は全身用の超高速型マルチスライスCTでもあり、その性能も現時点ではトップクラスで、全身を十数秒以内で撮影できます。これを生かして全身臓器の精密検査にも利用しています。
 当院放射線科では4人の放射線科医と23人の放射線技師を中心に多くのスタッフが協力して、この最新鋭CTを含む数多くの高性能装置を駆使し、当院の高度医療の一翼を担っていると自負しております。安心して当院で画像検査をお受けください。

 
長岡中央綜合病院   放射線科医長 山本 哲史