閉塞性動脈硬化症は、手や足の血管の動脈硬化により、血管が狭くなったり詰まってしまう病気です。それによって血液の流れが悪くなり、手先や足先へ栄養や酸素を十分に送り届けることができなくなり、手足にさまざまな障害が現れます。
「60歳以上」「男性」「喫煙習慣」「狭心症や心筋梗塞の既往」「脳梗塞の既往」「ストレス」、また「糖尿病」「高血圧」「高脂血症」「肥満」などの生活習慣病―以上の危険因子に当てはまるものが多いほど、閉塞性動脈症になる危険性が高く、全国に約660〜760万人もの閉塞性動脈硬化症の方がいると推測されています。
動脈硬化は、脳・頚動脈、冠動脈(心臓に栄養を送る血管)などの全身の動脈に生じ、それらの臓器の血行障害も併せて生じることが多いことから、閉塞性動脈硬化症を「全身の動脈硬化病変の一部分症」としてとらえることができます。
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「手足が冷たい」「手足がしびれる」「一定距離を歩くとふくらはぎなどが締め付けられるように痛くなり休まなければならない(数分で回復)」「じっとしていても手足が痛み、夜もよく眠れない」「手足に治りにくい潰瘍ができる」―などの症状が出現します。
閉塞性動脈硬化症以外の疾患でも同様の症状が出現することもあるので、閉塞性動脈硬化症と診断するためにはいくつかの検査を行います。
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○触診…診察ではふとももの付け根や足の甲など、実際に足に触れて脈拍を調べます。
○上腕足関節血圧比(ABI)…足と腕の血圧の比を「上腕足関節血圧比(ABI)」といいます。ABIを測定することで、足の血液の流れを調べます。正常では、ABIは一以上ですが、血液の流れが悪くなるとABIは低下します。ABIが0.9以下の場合には、足に動脈硬化が起こっていると考えられます。
○血管造影…血管に造影剤を入れてレントゲン撮影を行う検査を血管造影といいます。CTやカテーテル検査時に血管造影を行うことで、狭窄や閉塞を起こしている部位を正確に調べることができます。
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閉塞性動脈硬化症は全身の動脈硬化病変の一部分症ですので、狭窄を起こしている血管に対する治療を行うと同時に全身の動脈硬化に対する治療が必要になります。
もっとも重要な治療は「運動」と「禁煙」です。この二つがしっかり行われないと、その他の治療による効果を十分に得られません。
薬物治療としては、抗血小板薬(血をサラサラにする薬)や血管拡張薬(血管を広げる薬)といった薬が用いられます。
風船のついた細い管(カテーテル)を血管の中に入れて、風船を膨らませることで狭くなった血管を広げるカテーテル治療(血管内治療)が行われることもあります。
人工血管や自分の静脈を使って、血管をつなぎ直すバイパス手術(外科的手術)が行われることもあります。
全身の動脈硬化に対する治療・予防として、前述の危険因子を減らすことが大切です。禁煙、バランスの良い食事、減塩、適度な運動など生活習慣の改善が大切です。
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