ワクチンには国の法律に基づいて公費負担で行う定期接種と、個人の希望でお金を払ってする任意接種があります。日本の定期接種は諸外国と比べて非常に少ないです。
日本の定期接種は、BCG、ポリオ、DPT(ジフテリア、百日咳、破傷風の三種混合)、MR(麻疹、風疹混合)、日本脳炎、インフルエンザ(65歳以上)の6種類です。
アメリカの定期接種の中で日本の定期接種にないワクチンをあげると、B型肝炎、ヒブ(インフルエンザ菌b型)、肺炎球菌、インフルエンザ、おたふく、水痘、A型肝炎、髄膜炎菌、ロタウイルス、ヒトパピローマウイルスワクチン、なんと十種類にもなります。日本では、B型肝炎、ヒブ、肺炎球菌、インフルエンザ、おたふく、水痘、A型肝炎ワクチンは任意接種として受けられます。十年前にはほぼ世界中で使われていたヒブワクチンが、ようやく2008年末から日本で使えるようになりました。
これは、アメリカが特別なのではなく、日本が世界からかけ離れているのです。海外では早くから承認され、普及しているのに日本では普及していないワクチンがあまりにも多い実態をワクチンギャップといいます。
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日本では、生ワクチンは4週間、不活化ワクチンは一週間の間隔をあけてやるように決められていますが、海外では複数ワクチンを同時に接種することもありです。右腕に二種類、左腕に二種類計4種類なんてありです。(4回チクンするのはかわいそうですが)定期接種の種類が多く、一つ一つ別にやることは現実無理です。六から七種類の混合ワクチンも使われています。それで問題になることはありません。日本とずいぶん違います。
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日本は先進国の中で唯一はしかのなくならない国として、問題視されていました。2006、07年に大学生、高校生の間で麻疹の流行が見られ、社会問題となりました。今ようやく、はしか撲滅に本腰を入れています。はしかワクチン2回接種が実現し、さらに中高生にも暫定措置がなされています。1期、2期はもちろん、3期(中一)、4期(高三)のワクチン接種も是非受けてください。
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ワクチンが効果を発揮する対象疾患は今後も広がっていきます。直近の感染症予防だけではなく、感染症の結果数十年後に発症する癌を予防する手段として用いられてきています。B型肝炎ワクチン(肝癌)、ヒトパピローマウイルスワクチン(子宮頸癌)はその例です。胃がんの原因となるピロリ菌ワクチンが開発中です。さらに、感染症とは関係ない高血圧や肥満についても予防ワクチンを作ろうとする研究が進んでいます。
予防接種は国民の健康を守る上で有効で重要と考え、積極的に進める国が多い中、日本はかなり国際標準からずれて消極的であると思います。どちらがよいかは別にして、まずは、日本のワクチン事情が、諸外国とずいぶん違うのだということを知っていただけたらと思います。
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