秋以降の本格稼働へ
 死亡原因第一位であるがん治療への対策として、上越総合病院では放射線治療棟を新たに増築し、放射線がん治療に取り組みます。このたび、世界でも最高峰の放射線がん治療機器を二台購入し、秋以降の本稼働に準備を進めています。今後も「地域に根ざした病院」として、患者さんの期待にこたえていきます。


秋以降の本格稼働へ
 放射線は、電磁波エネルギーの一種です。光や音の仲間ですが,目に見えず、体に当たっても感じることができませんので「恐ろしいもの」というイメージがあります。

 しかし、1895年ドイツの物理学者レントゲンによって発見されて以来、放射線は医療に利用され、その進歩に大きく貢献してきたことも広く知られています。健診や人間ドックに行けば、必ずと言っていいほど、エックス線撮影がありますし、エックス線CTや、胃透視もなじみのある検査でしょう。ほかにもたくさん放射線を使った検査がありますが、これらの装置や撮影方法は日々進歩しており、安全で有用な検査が、世界中で行われているのです。

 この放射線を高いレベル(エックス線撮影で用いる量の数十倍)で用いると、このエネルギーをがんや他の病気の治療に利用できます。これが放射線治療です。


秋以降の本格稼働へ
 この度、上越総合病院に放射線治療棟が新設され、二台の最新鋭の放射線治療装置が導入されました。これまでの装置では、がん細胞の周辺に一定のマージンを持たせて照射する方法がとられており、正常組織を含めた相当の範囲に照射していました。また、患部へ正確に照射を行うための位置合わせに多大な時間が必要で、患者さん、医療従事者ともに負担となっていました。今回当院に導入された装置は体内を撮像できるエックス線イメージングシステムを搭載することにより、患部の位置を正確に把握し、ピンポイントで放射線を照射できるようにして、健全な身体組織への放射線障害を少なくできるため、これまでの装置と比べて高精度ながん治療が可能となりました。

 また、最近では、治療効果を高めるための治療法として、多方向から患部を正確に照射する「定位放射線治療」や、エックス線の照射線量を照射部位内で細かくコントロールする「強度変調放射線治療」が普及しつつありますが、これらの高精度照射にも対応できる装置となっています。


秋以降の本格稼働へ
 もちろん放射線治療も万能ではありませんから、他の治療との連携が非常に重要です。そして、患者さんの意識がある状態で行うことが多いので、患者さんに協力していただくことが必要不可欠です。患者さんと同じ目的に向かって一緒に努力していくということを大切に考えています。ですから我々の最初の仕事は、患者さんとの信頼関係を作ることといっても過言ではありません。

 現在当科は放射線治療医一人、診療放射線技師三人、看護師一人、事務員一人というスタッフで今秋の本格稼働に向けて準備しています。


 上越総合病院  放射線治療科    技師長 竹中真一