女性として仕事や家庭・家族を持ち、人生これからっていうときにかかる病気の一つが乳がんです。

 今や日本人女性の20人に一人という確率でり患するといわれている乳がんですが、欧米では5人から10人に一人という確率になり、わが国でも今後ますます増えていくだろうとの懸念もあります。欧米では乳がん検診の受診率が上がることにより、早期の乳がんが発見されて死亡率が下がったということを受け、わが国でも検診受診率を上げ、死亡率を下げようとする試みが行われています。

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 乳がんが触診で判るようになるには十年ほど時間がかかるといわれています。

 乳がん検診は触診で触れることのないがんを発見する契機になったりします。おそらく、10年で触知可能となるがんの7年目とか場合によっては5年目に、現在に存在しながらタイムマシンで先に悪いやつらを見つけて退治してしまうような感覚です。実際に当院でもかつては遭遇することも珍しかった非触知性の乳がんの割合が増えています。乳がん検診を受けてもらうことで、早期がんの発見を増やし、まずは救える人を増やそうというのが狙いです。
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 まず、大切なことはがんを恐れないこと、そしてよく知ることです。

 乳がんは早期で見つかれば治癒率は90%を超え、検診発見例では生命を脅かす心配のない非常に早期のがんも発見されています。手術で乳房がなくなってしまうと決まったわけではありませんし、治療で髪の毛が抜けちゃうと決まったわけでもないんです。現在の治療は患者さんが主体なのですから、主治医とよく相談して決めていきましょう。

 がんになるということはある意味人生最大の危機(ピンチ)なのですが、機会(チャンス)を逃さない姿勢、考え方が早期診断・早期治療には不可欠で、ピンチを切り抜けるために最大限チャンスを生かしてほしいと思います。

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 以下に乳がん検診で異常を指摘された患者さんの一般的な流れについて解説します。

 検診は大きく分けて三つあります。ひとつは市町村の役場などから案内の来る住民検診や、お勤めの方であれば職域検診、他に人間ドックなどがあります。

 とにかく検診を受ける機会を無駄にしないということが大切です。発見するチャンスを逃さないことが大切です。

 検診で異常を指摘されると医療機関の受診を勧められます。このときちゅうちょせず早めに受診しましょう。異常を指摘されたとしても、かなりの確立で良性の病変であることが多いのですが、もしがんであったとしても早く診断がついて、早く治療へ移行できた方が良いのです。ここでも早く治療できるチャンスを逃さないことです。一般には外来でマンモグラフィーや超音波検査などが行われることが多いでしょう。


 =次号では治療法を掲載=