そろそろ花粉症シーズン到来です! この時期、くしゃみ、鼻水、鼻づまりでお困りの方も多いのではないでしょうか。
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花粉が鼻や眼の粘膜に付着してひきおこされるアレルギー疾患です。
くだけた表現をすれば、本来は無害である花粉を、体の防衛隊である免疫系がある時、自分の敵だと判断・記憶し、今度は見つけ次第あらゆる手段で攻撃し追い出そうとする、過剰自己防衛反応といえます。
くしゃみ、鼻水、鼻づまりは防衛策としては理にかなっているのですが、それはヒト全体でみれば不快な症状であり、他にかゆみや鼻血、長引く咳、集中力低下、睡眠障害などもおこしてしまいます。
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杉は日本の固有種で分布もほぼ日本に限られています。なぜ大昔から日本にあった杉が今、病の原因となってしまったのでしょうか。
それは戦後大規模に植林された杉が樹齢三十年を超えた一九八〇年頃から大量の花粉を一斉に飛ばすようになったことが最大の原因です。 加えて、都市化や大気汚染、住環境や食生活の変化など多要因が関与して免疫の過剰反応をおこしやすくなったためと考えられています。
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年々患者数は増加し、地域にもよりますが、現在4人に1人はスギ花粉症だと報告されています。特に10〜50歳代では3人に1人の割合に増加しています。
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毎年春先に症状が出る方はスギ花粉症である可能性が高いですが、他の鼻疾患が隠れていないかどうか、重症度や他のアレルギーが合併していないかなどを、鼻粘膜の観察と鼻汁や血液の検査で行います。
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「花粉症は治らないのですか?」とよくご質問をいただきます。一度獲得したスギに対する免疫を、リセットする確実な方法は今のところありません。
@減感作療法
スギ抗原物質を低濃度から繰り返し注射し、免疫に再学習させ根本から過剰反応をなくそうとする治療です。しかし長期間厳密な通院が必要なことや、ショックなど重大な副作用を起こすことがあることから施行施設は多くありません。(当院でも施行していません)
ただし現在、頻繁な通院が不要な舌下免疫療法が試験中ですので、近い将来にはもっと普及するかもしれません。
A薬物療法
アレルギー反応の過程をブロックすることで症状をおさえる治療です。 花粉飛散前から使用開始する初期療法がより効果的です。一昔前はアレルギーの薬は眠くなると評判が悪かったですが、現在は眠気の副作用のない薬もあります。症状や鼻粘膜の状態に応じガイドラインにそって薬を選択、組み合わせてお出しします。
B手術療法
永続的な効果ではありませんが、レーザー等で粘膜に傷害を与え粘膜上での反応を抑える術式と、鼻粘膜のボリュームを減らす切除術があります。
Cセルフケア
マスクや掃除、部屋の中に花粉を持ち込まない工夫など、抗原を回避することが主体です。
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