国の新しい健診の仕組みである特定健診・特定保健指導が行われています。この特定健診を「メタボ健診」と言う方もあります。

 いろいろな研究によって解明された、内臓脂肪が指令をだして生活習慣病を起こす、というのが根本にあります。その内臓脂肪を推測するのが腹囲(ウエスト周囲径)です。さまざまなところからの宣伝活動のおかげで健診場面でも 「これが一番いやだわ」「お腹をひっこめちゃだめかね」などの声があがります。
細かく生活習慣を聞く
 健診医が特定健診により、特定保健指導対象者を判定します。おひとりにつき半年間をサポートするというのはやはり責任重大です。より効果をあげるためにも、これまで体重がどんな風に増えてきたのか、どの体重の時が過ごしやすかったか、自分のやりとげていきたい気持ちを支えてくれるものはあるかなど細かくお話をしていただきます。生活の様子を丁寧にふりかえっていく中で、ご自身でどこが多すぎてどこが少なかったのかを気づかれる方も多いです。
細かく生活習慣を聞く
 「年々少しずつ体重があがり、なかなか体重をおとすことができない。指導を受けて以前の体重にしたい」とAさん。夕食後のだんらんの時間に菓子パンやチョコレート、お菓子、甘い飲み物などをとっていました。そこでの量はかなりのカロリーになっていました。指導後、数カ月たってご本人は言っています。「生活を変えるっていうのは本当に大変だなあ」―そうなんです。 
 実際、私も実家にいるときはそうでした。夕食が終わると、母が果物をむいてくれ、お菓子を食べながらその日のあったことを話し、とても楽しかった思いがあります。でも知らないと後から体が損することがあるんですね。またその時に一緒に過ごす成長期の子どもたちへの影響も気になります。楽しいことは自然に慣れて、あたりまえになっていってしまいます。

細かく生活習慣を聞く
 「生活を変える」ということは、今まで体に負担をかけるようなアンバランスな部分について、自分に必要な量や中身を知ってもらい、その生活に馴染んでいくことなのだと思います。Aさんとは、目標体重に見合う間食の上限カロリーをイメージしました。私自身、この特定健診が始まってこれまでよりカロリー表示をよく見るようになりました。よくとる乳製品のタンパク質や脂質量を比較したりしています。糖尿病の身内をもつ私にとっても生活習慣病は身近な問題です。指導対象になった方へは、一時のダイエットに終わらず、これからも続けられる、その人本来の生活スタイルを取り戻していただけるよう根気よく応援していきたいと思っています。

 上越総合病院   保健師 宇佐美裕子