主に輸血やイレズミ、針治療などによって感染が起こるC型肝炎ウイルスは、1988年に初めてそのRNA(遺伝子情報)が見出されました。日本では世界に先駆けて献血のスクリーニング検査を行い、それまで輸血後に約20%起こっていた輸血後肝炎は激減しました。近年では、輸血を含めた血液製剤による新たなC型肝炎の発生はゼロに近くなっています。
現在、日本では約150万人がC型肝炎ウイルスに感染しているものと推測されています。そして、年齢が上がるとともに感染している率が上昇しています。
|
|
最近、薬剤C型肝炎として話題になっているのは、フィブリノゲン製剤などの投与で発症した肝炎です。それらの血液製剤に関しては適切な処理を行っていれば、C型肝炎の感染を防げたであろうということで問題になっているわけです。現在、1972年から1988年の血液製剤投与で肝炎が発症したと思える方が国の補償対象となっています。
当院はこの問題で報道番組から取材を受けTV放映もされましたが、この時期のカルテは廃棄されていることが多く、投与の証明はなかなか困難となっています。
|
|
さて、C型肝炎ウイルスに感染すると七割ほどは慢性肝炎に移行します。自覚症状はほとんどなく、徐々に進行し、平均20年の経過で肝硬変へと移行するといわれています。そして肝硬変になると、年率5〜8%と高率に肝細胞がんが発症する事が知られています。わが国では肝硬変・肝臓がんを合わせると年間3万人以上の方が亡くなっています。このため国を挙げ肝炎・肝がん撲滅のため慢性C型肝炎の診断・治療を推進しています。C型肝炎の診断は血液検査で簡単に調べることが可能です。心配な方は一度医療機関でチェックを受けてみてください。
一方、慢性肝炎にかかっている方の治療に関しては、現在患者さんの所得に応じて助成制度が設けられ、インターフェロン治療が推奨されています。インターフェロンが効きやすいウイルスの場合約90%、効きにくいウイルスで55%ほどの完治が見込まれます。また完治しない場合でも治療を行うことで肝臓がんの発生率を低下させるともいわれています。
万一たとえ肝臓がんになったとしても、現在はいろいろな治療法が確立されており、特に小さい時に見つかれば予後も良いわけですので、これも踏まえてC型肝炎の患者さんはぜひとも定期的な診察を欠かさないようにしてください。
詳しくは、肝臓専門医・消化器内科医にご相談くださるようお願いします。
|
|