白血病は珍しい病気?予後不良の治療法のない病気と考えられていた時期もありますが、検査法の進歩、検査を受ける人の増加により、珍しくもなく治癒する病気となってきています。今回は白血病の現状、白血病に近い病気についてお話しいたします。 |
|
この病気がいわゆる白血病(血液ガン)で、芽球(白血病細胞=ガン細胞)が無制限に増え続ける病気です。
血液細胞(赤血球、白血球、血小板)は骨髄で作られ、それぞれに腫瘍化(白血病化=ガン化)は起こります。しかし、芽球(形態学的に最も幼若な細胞)は血液細胞で同じ形態をしており、その区別は困難です。また血液細胞以外のリンパ球も血液中に出現し、その起源(生まれてくる所)が異なります。そのため、急性白血病は骨髄性とリンパ性に別れ、起源が異なるため治療も異なってきます。白血病細胞は全て骨髄で増殖し、芽球が20〜30%以上骨髄で増加した状態を白血病と診断します。
芽球は血球の機能を持たず増加により骨髄では正常血液細胞の増殖が抑えられ赤血球の減少により貧血が、白血球の減少により易感染性(感染症にかかりやすい事)が増し、血小板の減少により出血が起こってきます。
|
|
正常骨髄では正常芽球が1〜2%見られますが、白血病で述べた芽球が20〜30%に至らない状態を骨髄異型性症候群(MDS)と診断します。前白血病状態といえます。
MDSでは骨髄細胞数はほぼ正常ですが、成熟が進んで血球になると、その数は減少し、二系統以上の血球の減少がMDSの診断の一つになります。血液出来損ない(異型性)症候群という事になります。これは高齢者の貧血にも見られ「年齢相応の貧血」もこの中にはいります。
|
|
人の体細胞は中枢からの指令により過不足なく産生されています。しかし、指令に従わず勝手に増えることを腫瘍性増殖といい、血液細胞について慢性的に増殖することを慢性骨髄増殖性疾患(CMPD)と診断します。赤血球、白血球、血小板全てが増える真性多血症、血小板が増える原発性血小板血症、血小板前駆細胞の巨核球が増える原発性骨髄繊維症、白血球が増える病気が慢性骨髄性白血病(CML)です。
CMPDでは血球の機能は保たれており、血球増加による血栓症が重大な合併症となります。また、CMLを中心に急性白血病への転化が高頻度に起こり、極めて難治性の急性白血病になります。
|
|
骨髄細胞の腫瘍化だけでなく、骨髄無形成とそれに伴う汎血球減少(赤血球、白血球、血小板が全て減少する)が再生不良性貧血です。汎血球減少に伴う合併症は白血病と同様です。原因として放射線被爆、クロラムフェニコールの内服などありますが、大半は原因不明で年齢に関係なく起こり、多能性骨髄幹細胞の無形成、同幹細胞に対する抗体の出現、ウイルス感染などが考えられています。白血病やMDSの合併もみられ、その場合は白血病やMDSと診断されます。
以上、白血病とその類縁疾患について述べましたが、白血病は身近な疾患であり早期診断、早期治療が極めて重要です。
|
|