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新潟県は全国平均を上回るスピードで超高齢化の波が押し寄せ、過疎地では、二人に一人が六十五歳以上のご老人という地域もあります。病気になってからでは遅く、予防がより大切な時代になりました。三大成人病(がん・心臓病・脳卒中)をはじめ数々の病気の原因となっているタバコ関連死は、日本では実に、年間十万人以上です。これこそが、「タバコが、予防しうる最大の原因だ!」といわれるゆえんです。
昨年の健康増進法の施行、病院機能評価の動きに合わせ、建物内禁煙が標準となり、施設内禁煙に移行する医療機関も増えつつあります。でも、現実は厳しいです。「たかがタバコ、されどタバコ…」で、しゃくし定規に「禁煙! 禁煙!」と叫んでもなかなかうまくいきません。タバコは長年付き合った「悪友」にたとえることが出来ます。イライラした時、眠気覚ましになど、様々な場面で気軽に付き合ってくれます。軽い気持ちで始めたタバコ、いざ手を切ろうとしても、なかなか放してくれません。
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やめられない理由は二つ。一つはタバコに含まれるニコチンは依存性があって、血液中の濃度が下がるとまた欲しくなるという中毒物質であること。いま一つの理由は、一本抜き出して火をつけ吸い込むという一連の動作が、無意識のうちに身に染みついて、「貧乏ゆすり」と同じ、一種の癖になってしまっていることです。
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禁煙支援のコツは禁煙をしようと思った理由、禁煙スタイル、職場や家族の状況などを、丁寧に時間をかけて伺い、ご本人にあった禁煙方法のヒントを差し上げること。最近では、ニコチンを含んだ禁煙補助剤が発売され、禁煙直後のイライラ感を和らげて、スムーズに禁煙を開始するのに極めて有効です。ただし、滑り出し順調でも、その後何度か、再禁煙という「道草」を食いますので、患者様の禁煙する気持ちを萎えさせないように、気長にお手伝いすることで、皆さん時間はかかっても禁煙というゴールにたどり着かれます。
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合言葉は、
●禁煙は、まわりの人への思いやり
●禁煙は、自分探しの第一歩
●タバコとは、哀煙家の死向品(愛煙家の嗜好品ではありません)
●タバコを憎んで、人を憎まず(罪を憎んで、人を憎まず)
●北風より、太陽で(ガミガミ言うのは逆効果)
●大人は、休煙から卒煙へ(気軽にタバコを休むことから始めましょう)
●子供には、無煙環境を!(子供は宝、初めからタバコと無縁に!)
いろいろな病気を作る「タバコは万病にもと」です。でも一度タバコを覚えると「タバコは手強く」、縁を切るのは大変です。このタバコの手強さを知った上で、禁煙することは、豊かで健やかな老後を送るための、「転ばぬ先の杖」になります。 |
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