歌手の浜崎あゆみさんが病気にかかっていたことを告白して以来、マスコミなどでもとりあげられる頻度が多くなった突発性難聴ですが、一体どんな病気なのでしょうか?
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 突発性難聴の定義とは原因不明に突然発症する感音性難聴(後述)なのですが、症状は難聴のみならず耳鳴りやめまいを伴うことがあります。これは聴神経と呼ばれる神経には、聴覚と共に体のバランスを調整する役割があるからです。

 少し話が難しくなりますが、音とは振動であり、人間が音を感じるには鼓膜で振動をとらえ、それを神経が電気信号として脳に伝えるという行程を要します。難聴には大まかに分けて、伝音性難聴と感音性難聴がありますが、例えば耳あかが詰まるなど振動の伝達に問題が生じる難聴が伝音性難聴です。一方、神経が電気信号としての音を脳に伝える過程の障害によって生じる難聴が感音性難聴なのです。つまり感音性難聴とは神経性の難聴ともいえます。

 日本で突発性難聴の治療を受ける患者さんは年間数万人と推定されます。男女差や年齢差などはあまりはっきりしません。難聴の程度は様々です。難聴が軽度の場合、耳閉感や耳の違和感などと訴える患者さんもいます。
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 その原因としてウイルスや内耳の循環障害などが推測されていますが、定義にもあるように基本的には原因は不明です。

 では、原因不明ということはどのように証明すればよいのでしょうか?
 ここがこの疾患の診断の難しさだと考えますが、原因が分かっている感音性難聴を全て除外しなければなりません。

 感音性難聴をきたす代表的疾患にメニエール病があります。この病気の初回発作と突発性難聴はなかなか鑑別が難しいです。圧外傷により発症する外リンパ瘻(がいりんぱろう)という病気や、聴神経に腫瘍ができる場合なども同様の症状が出現します。その他にも薬剤性や強大音による難聴など感音性難聴の原因は様々です。これらの病気を除外できてはじめて突発性難聴と診断されます。

 そのため診断においては問診が非常に重要です。次に耳や鼓膜に異常がないかをチェックします。当然聴力の検査が必須ですし、腫瘍や中耳炎がないかを調べるためにレントゲンやMRIを撮影することもあります。
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 薬剤としてはステロイド剤や循環改善剤を点滴や内服で使用します。また安静を保つことも大切です。しかし、治療において最も重要なことは、治療開始時期です。なぜならいかなる治療を行っても、発症してから一カ月以上経過してしまうと回復が困難になるからです。  

 突発性難聴はできるだけ早期に治療を開始できるほどその予後が良いですので、難聴を自覚したら早めに耳鼻咽喉科を受診して下さい。