ピロリ菌は胃の粘膜に生息しているらせんの形をした細菌です。さまざまな研究から、ピロリ菌が胃・十二指腸潰瘍(かいよう)などの病気に深くかかわっていることが明らかにされてきました。
ピロリ菌に感染すると、胃に炎症を起こすことが確認されていますが、ほとんどの人は症状を自覚しません。胃・十二指腸潰瘍の患者さんの90%はピロリ菌に感染していることが報告されており潰瘍の発生、さらに再発や治りにくさに、ピロリ菌が関係していることがわかっています。
薬を服用することにより、ピロリ菌を退治する治療を「除菌療法」といいます。除菌療法を行うことによって胃・十二指腸潰瘍はほとんど再発しなくなりますので、潰瘍と縁を切ることが可能になります。除菌療法の対象となる人は、胃潰瘍または十二指腸潰瘍の患者さんでピロリ菌に感染している人です。ただし、胃潰瘍や十二指腸潰瘍であっても、除菌療法が必要かどうかは主治医とよく相談してください。
胃・十二指腸潰瘍の患者さんに対して検査を行いピロリ菌がいることを確かめてから治療を行います。ピロリ菌の除菌療法とは、「二種類の抗菌薬」と「胃酸の分泌を抑える薬」の合計三剤を同時に一日二回、七日間服用する治療法です。 ピロリ菌の検査には、内視鏡を使う方法と使わない方法があります。
内視鏡を使う方法には、@迅速ウレアーゼ試験、A鏡検法、B培養法があります。これらの方法では、内視鏡により採取した胃の組織を用います。中でもBの培養法では治療に使う抗菌薬がその患者さんのピロリ菌に効くかどうかも調べることができます。
内視鏡を使わない方法には、@尿素呼気試験、A抗体測定、B便中抗原測定があります。 内服薬による除菌療法の副作用(下痢など)もあり得るため、実際に除菌療法を行うかどうかは主治医の判断によります。
慢性的な胃潰瘍や十二指腸潰瘍に悩んでいる人は、一度医療機関に相談してみましょう。
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