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肺炎とは、何らかの病原微生物が肺に侵入して、急性の感染症を起こす病気です。原因となる微生物にはいろいろありますが、頻度として肺炎球菌が最も多く、次いでインフルエンザ菌、マイコプラズマ、クラミドフィラ(クラミジア)の順です。
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典型例では「咳がでる、色のついた痰がでる、胸が痛い、息が苦しい」などの局所症状と、「熱がでる、体がだるい」などの全身症状が組み合わさって出現します。しかし、高齢者では典型的な症状が現れないことがあり、いつもと比べて「食欲がない、元気がない、会話がない」などという場合があります。
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外来治療と入院治療があります。軽症肺炎や脱水を伴わない中等症肺炎では外来治療が一般的に行われ、脱水を伴う中等症肺炎や重症肺炎、超重症肺炎では入院治療になります。
この重症度を判定する基準として「@男性70歳以上、女性75歳以上、A脱水あり、B血液中酸素濃度低下、C意識障害あり、D血圧低下」という五つの指標があり、いくつの項目を有するかで重症度が決まります。
治療は抗生物質の投与を行います。外来治療できる肺炎では抗生物質を内服し、入院治療が必要な肺炎では抗生物質を点滴することが多く行われています。ほかに対症的に解熱薬、鎮咳薬、去痰薬なども用いられます。また、補液、酸素吸入などが必要になることがあり、人工呼吸管理を必要とする場合もあります。
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肺炎は抗生物質などの薬の進歩と医療技術の向上によりかなりよく治療できるようになりました。しかし、高齢者の方にとって肺炎はいまだに怖い病気です。特に心臓や呼吸器に慢性疾患がある方、腎不全、肝機能障害、糖尿病のある方などでは肺炎にかかりやすく、症状が重くなる傾向にあります。肺炎が急速に進んだ場合、抗生物質などの治療が間に合わないことも少なくありません。予防が大切です。
肺炎をはじめとするさまざまな病気から体を守るための日ごろの心がけとしてうがい、手洗い、日光浴、散歩、入浴などがあります。
肺炎の予防として肺炎球菌ワクチンがあります。肺炎球菌によって引き起こされるいろいろな感染症を予防するためのワクチンです。したがって、肺炎球菌以外の病原微生物による感染症に対しての予防効果は全くありません。しかし、肺炎球菌は肺炎の原因菌としては最も重要な位置を占めている細菌です。一回の接種で免疫ができ、免疫の効果は五年以上続きます。ただし、過去にこのワクチンを受けたことのある人は、再接種(二回目の接種)はできません。
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@男性70歳以上、女性75歳以上
A脱水あり
B血液中酸素濃度低下
C意識障害あり
D血圧低下
―という5つの指標があり、いくつの項目を有するかで重症度が決まります。
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