冬の寒さが本格的になると、真っ赤な顔をして、鼻水を垂らしている子供たちがどの病院の待合室にもあふれていることでしょう。そこで今回は、冬季のウイルス感染症の代表であるインフルエンザの予防法・治療法について簡単にご説明したいと思います。
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日常で行えるインフルエンザの予防方法についてまず重要なことは、流行期に入る前にワクチンを接種することです。予防接種が済んでいない方は、可能であれば今からでも接種するとよいでしょう。そして流行期には体調を整えて抵抗力をつけること、人ごみを避けてウイルスとの接触機会を減らすことが大切です。
保育園、幼稚園や学校は、インフルエンザをはじめ感染症の温床になりますので、お子さんがいるご家庭では、この時期特に手洗いやうがいを念入りに行い、通園・通学時にマスクを着用させる、帰宅したら着替えさせるなど、ウイルスを身につけない・持ち込まない注意が必要です。
また、インフルエンザウイルスは湿度に非常に弱いので、室内を加湿器で適度な湿度に保つことも有効な予防方法となるでしょう。
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次にインフルエンザに対する治療について触れたいと思います。治療薬としては、抗インフルエンザウイルス薬があります。ただし、本来インフルエンザ自体が自然に治る病気であること、治療薬の効果はインフルエンザの症状が出現してからの時間や病状により異なることから、患者さん全てが抗インフルエンザ薬を必ずしも必要とするわけではなく、使用する・しないは症状の重症度と医師の判断によります。
抗インフルエンザ薬を適切な時期(発症から四十八時間以内)から服用を開始すると、発熱期間が1〜2日間短縮され、ウイルス排泄量も減少します。
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日本ではこれまでタミフルが広く使用されてきた経緯がありますが、昨年、タミフル服用後の異常行動が相次いで報告されたことから、因果関係は不明瞭なものの、厚労省はタミフルの十代の患者さんへの使用を、合併症や既往症からハイリスク患者と判断される場合を除いて原則禁止としました。
これに該当しない年齢の小児・未成年の患者さんにタミフルが処方された場合は、服用開始後に異常行動がおきる可能性もあるので、少なくとも二日間は保護者や周囲の方々がお子さんを注意深く観察し、決して一人にしないように心がけてください。
なお、インフルエンザ脳炎・脳症等でも同様の異常行動が現れることがありますので、様子がおかしいと感じたら必ず医療機関を受診しましょう。
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一昨年までは、インフルエンザの治療の筆頭として頻繁に使われていたタミフルも、前述のような理由で使いにくくなっております。特にお子さんが罹患した場合は、特効薬に安易に頼れないと考え、対症療法や、安静にして、十分な睡眠と栄養をとることが治療の中心となります。この冬、少しでも多くの方々が健康に過ごされ、暖かな春を迎えられますよう、心よりお祈り申し上げます。
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