尿もれは下着も汚し、尿臭も不快です。恥ずかしくて医師への相談も億劫になります。もれの程度は下着に少ししみる程度からズボンを汚す程度まで様々です。もれの回数も一カ月に数回から毎日頻回まで様々です。尿失禁の診療も進んで、適切な治療で改善することが多くなりました。軽症でもお困りでしたら、勇気
を出して医師や看護師に相談してみて下さい。

 尿もれは大きく分けて三種類あります。

@腹圧性尿失禁、A切迫性尿失禁、B排尿後の滴下です。

@腹圧性尿失禁


 ジャンプ・走る・立ち上がる・笑うなど、お腹に力が入いる時に不意に尿が漏れるという症状です。尿道括約筋のしまりが弱いことが原因で、高齢女性に限らず若い女性にもみられます。反射的な骨盤底筋の収縮が弱いと尿もれが増えます。

 骨盤底筋体操という訓練を続けていると尿もれが軽くなることがあります(自転車のサドルがあたる部分に骨盤底筋という筋肉があります。その筋肉を数秒縮めて数秒緩めることを何回も繰り返し行う方法です)。
 尿もれが多くて困る場合は尿道を特殊なテープで支える手術(TVT手術やTOT手術)という簡単な手術で軽快します。骨盤底筋体操や手術の詳細については泌尿器科や婦人科で相談して下さい。
A切迫性尿失禁

 急に尿意を感じてトイレに行こうとしても間に合わないので尿が漏れるという症状です。尿は漏れないけれど漏れそうで困るという症状があれば過活動膀胱と診断されます。切迫性尿失禁や過活動膀胱は脳血管障害や脊椎症などで脳や脊髄が傷んでいる時、前立腺肥大症などで膀胱の出口の閉塞がある時に見られます。高齢者に多い尿漏れです。 検査では残尿量や前立腺などを超音波検査で調べて、A.膀胱出口の閉塞がなければ膀胱の収縮を抑える薬、B.膀胱出口の閉塞があれば尿を出やすくする薬で治療します。薬で軽快しない場合、Aでは尿とりパッド、Bでは内視鏡的に前立腺を切除する方法を考えます。


B排尿後の滴下

 排尿を済ませて下着を整えた後に、尿のしずくが出てしまい下着にしみるという症状です。どれほど多くの人が困っているのか詳しい数字はわかりませんが、相当に多くの方が悩まされています。

 排尿後、滴下が何故起こるのかも分かっていませんが、対処方法はあるようです。排尿した後に尿をしぼり出すつもりで、尿道括約筋と肛門を締める運動を7〜8回繰り返してから、トイレットペーパーを折りたたんで尿道に当てて、ゆっくりと下着を整えると良いようです。何か他に良い方法があったら教えていただきたいと思います。