入浴中の死亡の原因は従来、漠然と脳卒中や心筋梗塞と考えられてきました。最近の調査では入浴による急激な血圧や脈拍、あるいは体温の変動が意識障害を起こし、その結果水没し、溺死することが多いということが明らかになってきました。入浴中に亡くなられる方は、少なくともお一人で入浴できる元気な方です。

 そこで、入浴中の死亡について調査されているいくつかを取り上げ、その対策をご紹介します。

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 (財)東京都救急協会のレポートによると、平成12年から13年にかけての調査では入浴中の死亡は年間約14000人と推定されました。同じ時期の交通事故死が年間9000人前後でしたので、入浴中の死亡はその約1.5倍も多いことが分かりました。

ご出身は
 一年間を10月から3月までの寒い期間と4月から9月までの暖かい期間に分けると入浴中の死亡は3対1で前者、寒い期間が多いことが分かりました。また、入浴時間では夜中が多いことも分かりました。

ご出身は
 亡くなられた方は、89%が65歳以上でした。
ご出身は
 横浜市立大学の調査によれば事故発見時の浴槽内温度は43度が最も多く、次いで42度と熱いお風呂で起こっています。これは発見時の浴槽内温度ですので、入浴中の温度はもっと高かったことが推定されます。

ご出身は
 入浴中の死亡事故が多いのは日本に特徴的な出来事のようです。古いデータですが、1995年のWHOの統計によれば、75歳以上の溺死者(ほとんどが入浴中と推定される)の頻度は人口十万人当たりで日本がダントツの十九・九人。次いで多いのは韓国の4.9人、スペインの2.1人などです。これは入浴中の死亡が浴槽に浸かるという日本独特の入浴法に関連があることを意味していると考えられます。

 また、日本では浴室には暖房がありませんが、諸外国では浴室に暖房があることが多いようです。浴室内外の温度差も関連がありそうです。

 以上の特徴を検討すると、安全な入浴の条件は大まかには次のようにまとめられるようです。

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●脱衣場、浴室を暖かくする。夜間より夕方などの少しでも暖かい時間に入浴する…蓋(ふた)をせずに給湯すると浴室は暖かくなります。また、一番風呂は寒いですので、誰かが使った後に入浴するのもいいかもしれません。できるだけ浴室の温度を上げて下さい。

●湯温は40度以下にする…熱いお風呂に長時間、浸かるとボーッとしてきます。ぬるめのお風呂に短時間入るようにしましょう。繰り返し入るのも一つの方法です。また、肩まで入るのでなく、胸まで浸かる半身浴も勧められています。

●飲酒後の入浴は避ける…入浴中の死亡に血圧の低下の関連が指摘されています。飲酒後は血圧が下がっていることが多く、その状態で入浴するとさらに血圧が下がり危険です。お酒を飲んだ時にはシャワーなどで済ませる方が安全です。

●家族がまめに声かけをする…仮に入浴中に水没しそうになっても、早く発見すれば助かります。お年寄りが入浴している時は、まめに声をかけてあげて下さい。