日本農村医学会は、農村の実態に立脚して、医療・保健・福祉に関するすべての問題を調査研究し、その健全なる向上、発展を期することを目的に、毎年一回会員の研究発表など相互理解と質的向上を目指し開かれます。全国の医師・厚生連の職員や農業関係者が集まる全国規模の学会で、新潟県で開かれるのは12年ぶりとなりました。

 学術総会では、「地域医療を守る―新しい流れの中で」をテーマに、全国から900人余が参加し、度重なる医療制度改革に翻弄される中で、地域医療をどう立て直すかをはじめとして、幅広い分野で議論・討論を深めました。

 初日は、学術総会の吉川明学会長(長岡中央綜合病院長)が「長岡中央綜合病院における消化器疾患治療の変遷」と題し講演。また、午後から、「新研修医制度と医師確保対策」、「少子高齢社会を迎えた農山村における地域医療の現状と対策」と題し、2題のシンポジウムが行われ、医師確保対策の実践例や地域医療の再構築について報告がありました。

 2日目は、旧山古志村村長で現衆議院議員の長島忠美氏を招き、「中越大震災から―生きる力を」と題し、特別講演が行われ、その中で長島氏は、中越地震での体験を踏まえ、「村には医師が一人しかいなかったが、厚生連の病院が基幹病院として機能していたことが救いだった。苦しい局面にある地域医療をサポートすることは、国の責務だと思う。皆さんと一緒に立て直していこう」と呼びかけました。

 学術総会では、一般口演が352題(ポスター、口演含む)あり、分野毎の会場にてそれぞれ発表され、多くの参加者より活発な議論が行われ、今後にいかすことになりました。
  

(会本部・藤本依里)