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脳の出血には、脳の中に出血する場合と脳の表面に出血する場合があります。一般的には脳の中に起こる出血を脳出血(脳内出血)と呼び、脳の表面に起きる出血(くも膜下出血など)とは区別されています。
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高血圧などによる動脈硬化によって起きる場合が多いのですが、元々脳の血管に出血を起こしやすい異常があって出血をおこす場合もあります。
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脳の中に出血が起きると、血管から漏れ出た血が塊(血腫)となって周りの脳を壊します。血腫ができるとまわりの脳が圧迫されます。脳の細胞は強く圧迫されれば壊れてしまいますし、壊れなくても働きが鈍ります。圧迫されて働きが鈍っている脳細胞は壊れていなければ回復してきます。また出血が起きると数日以内に血腫のまわりにむくみ(脳浮腫)が起きてきます。この脳浮腫によって症状が悪化することがあります。脳浮腫は時期がくれば自然にとれてきます。血腫自体も時期がくれば自然に溶けてなくなります。しかし、壊れてしまった部分の脳細胞は壊れたままになるので後遺症として症状が残ってしまう事になります。
以上の事から、脳出血による症状は、脳のどの場所にどの大きさの血腫ができるかに左右されます。一般的には血腫が大きいほど重症で、生命の危険が大きくなりますが、場所によっては小さくても致命的であったり、大きくても軽症である事もあり得ます。
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時間の経った血腫はMRIでもよくわかりますが、出血を起こしたばかりの時には小さい血腫であるとMRIではわかりにくい事があります。このため出血があるかどうかの検査は一般的にCTで行われます。出血の原因を調べる為には、MRIや造影剤を使ってのCTや脳血管のカテーテル検査が必要になる事があります。 |
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出血が続いて血腫が大きくなる事を抑えるために、まず、血圧を管理します。合わせて血が止まりやすくなる薬剤や脳浮腫を抑える点滴の投与が行われます。
また、しばらくの間は胃潰瘍、肺炎などの合併症が起き易くなりますので、合併症対策も行われます。また、早い時期からリハビリテーションが行われます。
血腫が大きく、生命の危険がある場合は手術で血腫を取り除く事が必要になる事があります。手術は、頭蓋骨に小さな穴をあけて細い管を血腫に刺して吸い出す方法と、頭蓋骨を大きく開けて、血腫を取り除く方法があります。手術の時に開けた頭蓋骨を一旦はずしたままにすることが必要な場合もあります。血腫の場
所や大きさ、出血の原因、脳以外の全身状態などによって、どの方法がよいかが決まります。
また、繰り返して出血を起こす原因となる特別な異常がある場合、再出血を防ぐためには、出血の原因となる異常に対する手術が必要な事もあります。 |
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一度壊れてしまった脳の細胞は元に戻りません。脳出血を起こしてからではどんなに治療が行われても後遺症が残り得ます。ですから、予防が大切です。高血圧があると何倍も脳出血がおきやすい事が分かっています。また、肥満、運動不足、酒の飲み過ぎも危険因子とされています。従いまして、高血圧がある方は必ず治療を受ける(これが一番大切です)、塩分を取りすぎない、肥満と運動不足を避ける、バランスの取れた食事を摂る、酒を飲み過ぎない、といった事が脳出血の予防になります。良識に乗っ取った生活を送るという事が脳出血の予防につながっていると言えるのではないでしょうか。 |
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