七月に佐渡総合病院から来られた田沼先生。控えめで穏やかという印象です。
ご出身は
 あぁ〜困ったなぁ!動機らしい動機はないですよ〜。病気もしないし、父もサラリーマンで、工場に勤めていたし、家族も含めて医療に縁はなかったです。だから医療への思い入れもなく…僕ではなんの面白みもないから、記事にならないですよ〜。困ったなー。
 理工系の高校に通っていたので、なんとなく工学部を受験するのかなとぼんやり考えました。そうしたら、将来が想い描けない自分に気付き、焦りました。 そこで、「手に職があるといいかな」という理由で医学部に入りました。とにかく何か目的意識を持ちたかったようです。
ご出身は
 新潟大学は推薦枠で入れたので。
つまり、目的がなくても、お勉強が出来る優等生というわけですね。
 そう!僕はいわゆる優等生でした。無趣味で、羽目を外さないタイプです。勉強やテストもゲーム感覚でした。喋るのも下手で、人付き合いも苦手。今で言うニートや、引きこもりと紙一重でした。
 やっぱり、僕では人選を間違えていますよぉ。他の先生をインタビューしたほうがいいと思います。僕なんぞ、引き出しが小さくて、細々したものしか入れていない人間ですから。
ご出身は
 昔何かの本に無人島に行くのに医者を一人だけ連れて行くとしたら何科の医者を選ぶかと。そこでは内科医が選ばれていたので内科を選びました。そして腎臓内科は僕の体内リズムに合っていたようです。
 各科には特有のリズムがあります。循環器も呼吸器も三分という世界。それは脳のためです。脳は五分酸素供給がなければ脳死が待っている。腎臓は尿が出なくても三日は持つ。治療の結果がでるのに時間が掛かる臓器が腎臓です。体液環境の維持が、すべての全身管理に繋がると思って腎臓を選びました。
 ところがこれがえらく複雑で難しい。僕の頭でついていけるのかと医局時代は悩みました。
ご出身は
 うちの奥さんは本当にいい人で、温かい人です。奥さんのおかげで人生の楽しさを実感しています。日赤の看護師さんで、去年の四月に結婚しました。子どもは半年になる男の子がいます。僕は子どもも苦手でしたが、自分の子を得て、こんなに可愛いとは知りませんでした。生まれる前は、女の子が欲しいと思っていたけれど、次も男の子がいいなと思うくらいです。
(取材/佐野)