厚生連病院では、「医療は平等」という信念で地域医療を担っています。同労働組合が20年前、中条病院を皮切りに、豊栄・栃尾などの病院へマイクロバスを寄贈したことから、現在も病院の巡回バスとして交通に不便な高齢者の患者さんの足となって引き継がれています。
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「このバスがねえとどこもいがんね」 |
現在豊栄病院では、2台のバスで豊栄市内と聖籠町の2市町を3人で九コース11通りの運行をしています。
バス運行当初(新築移転時の平成10年9月)は豊栄市内の運行はできなく聖籠便一台の運行でしたが、翌年から豊栄便がスタートしました。
そのころ、公共のバスはローカル線が廃止となっており、車を運転できないお年寄りの方が不便になったということで、患者さん以外の方も利用して下さっても良いということに決まりました。
当時私は、右も左も分からない新米運転手だったため、一生懸命でしたが、失敗もいろいろあり、めげている時、「運転手さんいつもありがとう」「このバスがねえと医者もいがんねし、どごもいがんねかったから助かるて」と言ってくれる患者さんの笑顔で何度も何度も救われていました。こちらこそ「ありがとう」です。
これからも、そんな皆さんの笑顔のエネルギーをもらいながら、患者さんと笑顔で接していきたいと思います。
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運転手 斉藤 健一 |
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「安全・快適を心がけて」 |
中条病院のマイクロバスは、十日町方面へ3便(月〜金曜)、新水・飛渡方面へ2便(水曜)、川西・下条方面へ2便(火曜)運行しています。
運転手の中嶋直光さんが、バスを運転する上で心掛けていることは「急ブレーキ・急発進をしないことや車内をキレイに保つことです」と、利用される方に快適な環境を提供できるように配慮しています。
また、冬期間は道幅も狭く、運行が遅れてしまうこともあるそうですが、安全第一の運転を心掛けています。
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(取材/久保田) |
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〜まだまだ走り続けたい〜 |
四方八方の谷に点在する集落で形成されている栃尾地域は、交通の不便な地域です。栃尾郷診療所の送迎バスは診療所受診のみならず、栃尾中心街への利用者を許容し、地域と診療所間の経路内であれば、どこでも乗り降り可能との運用をしているので、車のないお年寄りの方々へのサービスの一助となっています。
この巡回バスは、平成11年4月から運行されました。当時公共のバス路線が縮小傾向にあり、村部のお年寄りは家族の送り迎えに頼るしかなかったのです。しかし、不景気のあおりからか家族にもそうそう迷惑もかけられないと、痛みがでるまで我慢していたお年寄りも少なくなかったはずです。
一台の巡回バスを八つの谷に向け、効率の良い経路と運行時間を決定するには非常に大変な準備期間を要しました。公共のバス路線との兼ね合い、各科診療時間に間に合うのか、帰りの時間のタイミング、どの谷を何曜日に巡回し頻度は…等、さまざまな難題の末にようやく運行できたことを思い出します。
運行当初は地域の皆さんに大変喜ばれ、今もなおそれは変わりません。運行経路によっては25席の定員満席なることも少なくないようです。
運転手に話を聞くと、山坂が多く雪深い土地柄、特に冬季は道が凍るため、常にチェーンを準備する等、安全運転面での苦労がこぼれました。
病院から診療所への転換やバス本体の老朽化もあり、今後の送迎バス運行の見直しの話がない訳ではありません。利用者の声を聞くと「雪が多いこの時期のタクシー代は、片道で5千円近くかかる。大事なバスだからなくなると困る」「メンテナンスにお金がかかるのはよく分かる。多少の利用料を払ってもいいので、存続してほしい」と、強く訴えられました。
都市部と田舎との医療格差は近年あからさまにテレビの報道番組でも語られています。その溝を埋めるには病院単独ではどうにもならないのです。地域で安心な医療・健康を真剣に考えていく必要があります。そして、今後もお年寄りの足として巡回バスを継続する運動を続けていきたい。
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(取材/佐野・大橋) |
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