CT(コンピュータ断層診断装置)もMRI(磁気共鳴画像診断装置)もトンネルのような穴に体を入れて、頭や体の輪切り写真を得ています。しかし、両者はいったい何が違うのでしょう。

 まず、病院の同じ放射線科で行う検査でありながら、CTは放射線を使いますが、MRIは放射線を使っていません。MRIは強力な磁力と微弱な電波を使っています。得られた両者の写真は一見同じようですが、詰まっている情報はまったく違っています。

 普通の白黒写真は、体に反射する日光の明るさで一枚の絵を描いている様なものです。CTやMRIの写真は、体からこだまのように返ってきた信号の何を白として、何を黒とするのでしょう。 CTは放射線の通りやすさ(硬いものは通りにくい)、すなわち硬い骨を白、空気を黒として画像が決まります。MRIは体の中の水分子と関係が深いのですが、それ以上の説明はミクロの世界で難しいので省略します。

 具体的な特徴として、CTは検査時間が短く、出血性の病気の描出に優れています。MRIは検査に15〜30分程度かかりますが、脳梗塞や脳腫瘍、頚椎や腰椎、膝などの病気も簡便かつ詳細に検査ができます。造影剤を使わずに血管を描出できるのも体に優しい検査です。

 CTは近年、高速撮影に伴い、病気を広く拾い上げる(スクリーニング)検査として用いられています。MRIは必要に応じて検査が行われます。放射線を使うか使わないか、まったく違った視点で体の中を見ているが故に、どちらが優れた検査と比べるものでもないのです。病気があれば、それが良性なのか悪性なのかを正確に診断するのに、両者が共存し大いに役立っています。
 
長岡中央綜合病院 放射線技師 大橋利弘