「音楽を通して少しでも心を和んでいただき、早く健康になってほしい」と、佐渡総合病院では平成10年から、労働組合が主催となり毎月一回「ちいさな音楽会」を開いています。入院患者さんや付き添いの方、地域の方など多くの方が楽しんでいます。

 「地域に役立ててほしい」と同病院にピアノを贈ってくださった元東邦音楽大学教授の飯野淳也氏(74歳・千葉県在住)から全面的に協力をいただき、出演者もボランティアで今日まで休むことなく続けているものです。

 飯野氏との出会いは、同病院で開いていたクリスマスコンサートに佐渡で指導していた合唱団が出演してからです。これを契機に「病状の心配や気がかりな家族への思いで、暗くなりがちな入院患者さんに、たとえひとときでも心和む時間を提供し、未来に明るい希望の光が見えるような、そんな勇気が湧いてくる音楽会をしたい」と、両者の考えが一致し、音楽会を定期的に開くことになりました。

 音楽会は、同病院の二階講堂で一時間ぐらい開いています。普段は飯野氏と門下生のピアノの独奏や連弾を聴いたり、季節の歌を一緒に歌い、曲への思い出や、作詞家、作曲家のお話を交えながら、出演者と来場者が心をかよわせ、楽しい時間をすごしています。

 回を重ねるごとに出演者も多くなり、佐渡の合唱団(コールあいかわ、カンテリーノ両津、新穂コーラス、コーラス真野、アミューズメント合唱団)や千葉県のコーラスグループ、佐渡民話を聞かせる「リトルかたつむり」、七浦民謡研究会、相川幼稚園児、真野中学校リコーダーアンサンブルなど、地元のグループからプロの音楽家が演奏します。


 音楽会を聴いた入院患者さんが退院後、地域の人たちと歌う会を開き、音楽会で使っている歌詞カードとCDで、「元気で寝たきりにならないためにも、大きな声で好きな歌を歌おう」と明るい社会作りに努力しています。

 飯野氏は「音楽会の枝葉があちこちに伸びて、明るい歌声が響く元気な島になってほしい」とにこやかに話していました。
音楽会の日程
9月21日(日)
・10月26日(日)病院祭
・11月2日(日)
・11月23日(日)
 ともに午後1時30分から佐渡総合病院・二階講堂で開演。10月のみ午後1時から開演。

音楽会の日程
アミューズメント合唱団    代表市橋 和子 
 「ちいさな音楽会」は家族的でとてもあたたかい音楽会です。いつもにこにこ笑顔で私たちの合唱を聴いてくれます。「おばさんたち、がんばって歌ってね!」と励ましの声が聞こえてくるような気がして安心して気持ちよく歌えます。だから、私たちの合唱団はこの音楽会で歌うのが大好きなのです。

 発表の後、会場の皆さんと一緒に歌うカラオケもとても楽しいです。会場一杯に大きな声が響いて元気がもらえます。

 こんなステキな音楽会がいつまでも続いてほしいと願っています。