柏崎市の委託を受けて平成十六年六月、刈羽郡総合病院に「ぴっころ」と言う夜間出入口から入って右側奥に保育室がありました。開設時から関わる保育士の栗林由理子さんにお話を聞きました。
 「救急車の音でお昼寝出来るのかと心配しましたが、敷地内でサイレンが鳴ることはなく、子供たちはたくましく寝ています」(笑い)

 「共働きの核家族が増え、子育てと仕事の両立を支援する柏崎市の行政サービスに、ファミリーサポートセンターや、ちびっこ館があります。そこでの一時保育は病気の子は受け入れてもらえません。そういつも都合よく休みが取れるわけでもなく、かといって祖父母に頼ってばかりもいられないなど、ニーズは高いです」

 利用者は、看護師、栄養士、そして公務員などの子供さんが多いとのことです。
NSTとは
 生後6カ月から小学2年生くらいまでの、病気回復期の子供を対象に保育。定員は4人で、利用料金は一人一日2千円です。

 保育士は2人。早番・遅番体制で朝八時から夕方六時まで。しかし、水痘、流行性嘔吐下痢症、溶連菌感染症、プール熱、インフルエンザなど、熱が下がっても隔離保育をしなければならない感染症の場合や、利用人数の多い時は終日勤務となります。

 「ぴっころ」の利用は長くても一週間、短ければたった一日の保育。子供たちにとってはどんなところなのでしょう。

 栗林さんいわく、「初めての場所、知らない保育士にお子さんは緊張して不安顔は当たり前です。そこは保育士の腕の見せ所!(笑い)。朝、受け入れの一瞬一瞬の表情の変化を読み取り、安心できる場所と感じられるよう関わります。『ぴっころ、大好き』という子供さんは多いです。何しろ2〜3人の子に1人の保育士が関わり、自分の子供にもしたことがないほど濃厚な保育ができるのですから」
NSTとは
 「遊びは子供に主導権を持たせます。遊びに遊ばせ、眠りたいだけ眠らせて、元気に笑顔で帰宅していただく。一期一会の時間です。子供にとっては、お弁当を持って、遠足気分で遊び、『あ〜楽しかった!』となるわけです」

 栗林さんのお話で、寝る子は育つということが実感できました。お昼ごはんも食べずに、寝たり起きたりをくり返す子も多く「目が覚めるまで眠ると、こころも体も元気になる」という。「お昼寝嫌いな元気な子、絶対眠るもんかという子もいます。でも、ぴっころに来て、お昼寝できなかった子はいないですよ」と。
NSTとは
 「ここでは利用者と私どもとは、利害関係が全くないのがメリットです。保育園で言えないような悩みなど、親御さんの相談に応じ、子育てのアドバイスを積極的にしています」

 病後児保育のない地域では、治らないままの子供を保育所が受け入れるしかなく、水痘や下痢症の感染がまん延してしまうことがあります。大事な行政サービスだと思いました。
(取材/柳、佐野)