“物忘れ”は本人の自覚がありますが、認知症は自覚がありません。「何だか変」と感じたら、どこがどのように変なのか具体的に、つじつまの合わない会話や行動を観察します。

 そして、早めに医師に相談です。症状によっては薬の効果もあります。

 とはいえ、身近に接する家族の対応が、やはりキーポイントになります。

 よくある症状から―
 @「家に帰ります」の徘徊は、いまも現役と錯覚しています。できれば一緒に出掛けて、ひとしきり気が晴れたら自宅に帰るのが理想的。ですが、いつも出来るとは限りません。工夫として、玄関を出たことが分かるベルや住所氏名を付けた名札を着衣に付けたり、馴染みのある商店街やスーパーの人に協力をお願いすることも大切。

 A「財布を盗まれた!」は、物取られ妄想です。大事な物ほど、しまい込んで忘れてしまい、いつもそばに居る人を犯人にしてしまいます。『困りましたね、一緒に探しましょう』と言って、本人が自分自身で見つけられるよう誘導します。そして『良かった!』と一緒に喜ぶのがコツです。

 B「御飯はまだですか」食べたばかりでも忘れて催促も、よくある症状。『もうすぐできるから待っててね』と言って、本人の好きな菓子等用意して、機嫌を良くして忘れてもらう方法があります。
 ほかに「幻覚」「性格変化」「不潔行動」など、問題行動が現れると、介護者はどうしていいかわからなくなります。

 一人で抱え込んで悩まないで下さい。医療機関や、在宅介護支援に関わる人、そして地域包括支援センターに相談して下さい。

 認知症の高齢者は、そばに居る人の感情に敏感に反応します。したがって、家族の協力が何より重要です。
 
栃尾郷病院 地域保健福祉センター 伊東ハナ子