不眠症の治療薬としてはじめて使われたバルビツール酸系の睡眠薬は、効果は良かったのですが、長期間服用すると、やめられなくなるとか、量を多く服用すると死亡するといった欠点がありました。しかし、現在使用されているほとんどは、ベンゾジアゼピン(BZ)系の睡眠薬で、安全性の高い薬が主流です。さらに研究が進み、副作用が少なく自然な塾睡眠が期待できる非(BZ)系薬も登場しています。

 その結果、「量を多く服用すると死亡する」とか「長期間服用するとやめられなくなる」、「飲み始めると癖になる」、「睡眠薬を飲むとボケやすい」など睡眠薬に対する患者さんの誤解・不安は一昔前と異なり、今は安心して服用できるようになりました。

 しかし、依存性が少ないからと言って、突然中止しない様、やめ方にもコツがあります。睡眠薬の睡眠は正常の睡眠と質的に全く同一ではないのも事実です。

 成人の20%が睡眠に何らかの問題を抱えているという統計があります。不眠症の原因も様々なパターンにわけられますし、睡眠薬も作用強弱や作用時間の長短に応じて超短時間、短時間型、中間型、長時間型の四つにわけられ、種類も多く、それぞれの特徴によって使い分けられます。

 不眠症という病気を治すには、一時、薬の力を借りることも必要です。きちんと診断を受け、睡眠薬を正しく理解して、自分にあった薬を正しく使いましょう。
 真野みずほ病院 薬剤師 菊池佳子